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KANELL(カネル)というブランドを知ってほしい。

  • 2 日前
  • 読了時間: 5分

バスクシャツ、というアイテムがある。


フランスのブルターニュ地方を発祥とする、ボーダー柄のニットソーだ。日本でもセントジェームスやオーシバルをはじめ、いくつものブランドが展開しており、春夏の定番アイテムとして広く知られている。


ただ、どれも似たように見えて、実はブランドごとに背景も設計思想もまったく違う。フナナカ洋装店がKANELL(カネル)を選んだのは、そのこだわりの深さに惚れたからです。




KANELL(カネル)、マリンウェア発祥の地で最古のブランド。


KANELL カネル ロゴ 1923年創業 フランス

KANELLはフランス・ブルターニュ地方の都市カンペールを拠点とするブランドです。

創業者はPierre Brest(ピエール・ブレスト)という青年。複数のアパレルメーカーでセールスマンとして働きながら、ひとつの構想を温めていました。ブルターニュに古くから伝わる横シマ模様のニットセーター。船乗りに愛され続けるこのセーターを商業化できないか、と考えていたのです。


知り合いの工場から中古の編み機を買い取り、試行錯誤を重ねた末、1923年に自身のブランド「KANELL」を立ち上げ販売を開始。それはブルターニュにおける最古のマリンボーダーメーカーが生まれた瞬間でもありました。


その後ビジネスが軌道に乗り、1927年に法人化。フランス軍にユニフォームを提供するブランドとして認知されるようになります。時を経て現在、様々なマリンウェアブランドが生まれる中、ピエールが思い描いた理想のマリンウェアを具現化すべく、創業当時のブランド名「KANELL」として再スタートしました。




「マリニエール」とは何か。


KANELL カネル マリニエール バスクシャツ

日本では横シマのマリンTシャツを「バスクシャツ」と呼ぶケースが多く見受けられますが、フランスでの正式名称は「LA MARINIÈRE(マリニエール)」です。「船乗りの服」を意味するフランス語で、マリンボーダーはブルターニュにその起源があると考えられています。


フランス海洋産業の中心地であるブルターニュの船乗りたちが着ていたそのシャツは、今日ではフレンチカジュアルを語る上で欠かせないアイコンになりました。




36本のボーダーに込められた意味。


KANELLのバスクシャツといえば、ボーダーの本数へのこだわりが際立っています。

ボディに21本、袖に15本。合計36本。この数字はナポレオン・ボナパルトが成し遂げた、対イギリス戦の連勝記録に由来しています。


1858年、フランス軍が公式に下級兵の制服として採用した際、ボディに21本・袖に15本のボーダーを配置し、その合計が連勝記録と同数の36本になるものが最も正式なマリンボーダーであると規定したといわれています。


特筆すべきは、サイズが変わってもこの36本を守り続けているということです。サイズが変わればボーダーのピッチを都度調整して、どのサイズでも必ず36本になるよう設計されています。XSからXLまで、サイズが20cm以上変わっても、このボーダーの幅を調整し36本を再現し続ける。一般的には多大なロスと労力を要するため実現困難なことですが、KANELLはそれをやり続けています。




「船乗りの鎧」と呼ばれる素材。


KANELL カネル 肩部縫製 特許技術

KANELL カネル バスクシャツ 肩縫製 実物
実際のボナパルトの肩部分の縫製

KANELLの素材は「VINTAGE JERSEY」と呼ばれる独自のもの。一般的なヘビーウェイトのバスクシャツと比べ、2割以上多くのコットンを使用し、横編み機で極限まで目を詰めタイトに編み込まれています。重厚でありながら横編み機独特の柔らかさを兼ね備えた「Armure de Marin(船乗りの鎧)」と称される生地です。


洗えば洗うほど編み目が締まり、ドライタッチに変化していく。エイジングの楽しさにも溢れています。




縫製への、妥協しない姿勢。


KANELLの縫製には、他のブランドには真似できない技術が宿っています。

肩の部分はほぼ四角形に編まれた身頃のパーツを上辺の両端を折り返し、前身と後身を重ね合わせてリンキングする独自の縫製方法を採用しています。これにより肩に自然な丸みが生まれ、二重構造による補強効果も備えています。漁師の仕事着として生まれたバスクシャツらしく、長く着ることを前提にした設計です。


ボナパルトの袖下
ボナパルトの袖下には、三角マチが付いています

もう一つの特徴が、袖下の三角マチです。減らし目による成型で三角マチを作り上げており、袖の可動域を広げ着用時のストレスを軽減します。丸編み機では再現できない、横編み機を持つKANELLならではの技術です。


裾や袖口の端末処理もミシンによる縫製を一切行わず、編みの工程で完結させています。縫い目がないため肌当たりが良く、ほつれる心配もない。耐久性においても大きなメリットになっています。




実際に触って、確認しました。


フナナカ洋装店でKANELLを取り扱うことを決めたのは、実際に手に取って確認したからです。


日本で展開されているバスクシャツには、生地がゴワゴワしていて着心地が硬いものも少なくありません。KANELLは違いました。手に取った瞬間の柔らかさ、肌に当たったときの馴染み感。これは触ってみないとわからない感覚です。


背景だけではなく、実際の着心地においても本物だと確認できたから、仕入れを決めました。



「育てるニット」を、フナナカ洋装店でも。


KANELLのニットはデニムに似ています。着込むほどに柔らかくなり、洗うたびに身体に馴染んでいく。完成品を買うのではなく、自分の身体とともに育てていく一着です。


フナナカ洋装店では、KANELLのボナパルト(BONAPARTE)を取り扱っています。バスクシャツとしては珍しいクルーネック仕様のモデルで、ナポレオンの逸話を背景に持つKANELLを代表するアイテムです。


ボナパルトについては、次の記事で詳しく紹介します。



フナナカ洋装店

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